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第896話
「あっつ…」
帰って来て早々口から出たのはただいまではなく暑いだった。
日中の熱が残った部屋は不愉快な温度になっており不快だ
ネクタイを緩めながらエアコンを運転させ、ジャケットとネクタイ、それから靴下を床に投げ捨て手洗いへ向かう。
遥登んとこに比べりゃマシなんだろうけどやべぇな
人間が生きてける温度じゃねぇだろ
実家の愛猫も心配になる。
あの可愛らしい家族はこの季節でも毛皮を着ている。
いくら砂漠の子だとしても日本は湿度も高く夜になっても気温は差ほど下がらない。
特に老いた柏が心配だ。
手洗いうがいのついでにバシャバシャと顔を洗い蛇口をとめる。
滴る水滴を適当に拭い、朝洗って伏せておいたマグに冷えた烏龍茶を注ぎ入れた。
三条が訪れる事がなくなっても、マグカップは定位置に置かれ冷蔵庫には麦茶や烏龍茶が常備されていた。
結局それを1人で消費しなければなのだが、それでも三条が来なくなったからといってそれらを止める事はしたくなかった。
どうせなら、誕生日プレゼントに貰ったコーヒーマシンでコーヒーでも淹れたいところだが生憎豆がない。
麦茶は麦茶で美味いし、今はネットで豆を選ぶのが楽しくもある。
よし、飯食ったら今日も遥登と豆選ぶか
気持ちのこもったプレゼントはそれだけで笑顔を運んできてくれる。
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