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第907話

末弟と遊んでいたのだが、突然弟は寝てしまった。 限界まで遊び、寝て体力を回復させ、また限界まで遊ぶ。 素直な生き方だ。 すっかり氷の溶け薄くなった麦茶を飲んで、綾登の隣に寝転ぶ。 手の届く範囲には末っ子お気に入りのブランケットしかなく、暑いかとも思ったが冷房も使っているので腹を冷やしたら大変だとそれを小さく上下する腹にかけた。 寝ててもシシは離さねぇな まぁ、今の1番の友達だしな 潰れたぷくぷくの頬を指でそっとつつくと、んん…と可愛い声が聞こえきた。 公園で遊べない今、綾登の世界は自宅のみだ。 たまにスーパーマーケットや散歩に近所に連れていくが、それでも小さな小さな世界。 せめて、その世界だけは守りたい。 兄の切実な願いだ。 勿論、次男の世界も。 気持ち良さそうな寝息に誘われ欠伸が出てしまう。 俺も少しだけで寝ようかな 昼飯も腹一杯くったのもあるが、赤ちゃんのにおいがなんとも平和でうとうととしてきた。 スマホを机の上に奥と代わりにクッションを頭の下に敷き、目を閉じる。 起きたら優登を迎えに行こう それから、新刊見に行きてぇな テレビから聞こえてくるタレントの声が遠くになっていく中そんな事を考えていた。 洗濯物を取り込み戻ってきた母親は、そっくりの寝姿にふふっと笑みを溢す。

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