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第910話

他の職員の方への挨拶もそこそこに畳敷きの部屋へ案内され、一緒に教室を作っていく。 折り畳みの机をどう並べようか事前に決めていたらしく、吉田と子供達であっという間に出来上がり。 吉田がどれだけ子供達と一緒の時間を過ごし、どう接してきたのかが分かる。 とても格好良い。 「ここと、ここは真ん中に1人。 こっちは、両端に座ってください」 「はーい」 「まだ暑いから喉が乾く前に水分摂って、それから分からなかったら三条先生に聞いたらばっちり教えてくれるから安心して色んな事を聞いてください」 「はーいっ」 ドリルを開き解きはじめた子供達の頭を見ながら、簡単に館内の説明を受けた。 館長や他の職員の方も顔を覗かせていく。 顔の半分が隠れていても優しそうなのが分かる。 窓から入る風の気持ち良さがそれを更に強調するようだ。 鉛筆が紙の上を滑る音。 子供達の真剣な眼差し。 憧れの手前。 スーッとなにかが身体に染み入ってきた。 「すごいな。 格好良い」 「あ、分かる? 髪色変えたんだよ」 「髪色も格好良いけど、吉田自身だよ。 信頼関係出来てて素直に尊敬してる」 「なになに。 モテちゃう?」 「知佳ちゃんに教えとく。 子供にすっげぇ好かれてたって」 「うーん、複雑」 眉を下げてははっと笑う友人は会えなくなってより格好良さを増した。 「遥登先生、ここ分かんない」 「はい。 今行きます」

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