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第915話

日が沈み、帳が辺りを包む頃になると幾分かは涼しくなってきた。 それでもまだ日中暖められた地面の熱が残っていて冷たい飲み物が美味しい。 「あ、美味そうなの飲んでる」 三条がリビングでぼーっと月を眺めながら酒を飲んでいると、宿題を終えた次男がリビングにやってきた。 そして飲んでいたアルコールを目敏く見付ける。 「未成年だろ」 「俺は梅シロップ飲むよ」 成人を待てないほど短気ではない。 母親が露時期に仕込んでおいた梅シロップをコップに注ぎ、炭酸水で割った。 甘い豊潤なにおいとしゅわしゅわと爽やかな炭酸。 氷を沢山入れてとても美味そうだ。 兄との差はアルコールが入っているかいないかだけ。 それでも、その差は中学生の次男にはとても大きい。 それを持ちながら優登は伺いをたてる。 「考え事? 俺、邪魔?」 「大丈夫。 隣おいで。 お菓子食おう」 座っていた場所から少しずれ、代わりに間にお菓子を置いてくれた。 嬉しそうな顔をして隣に腰を下ろすと流していたスマホのチャンネルを変えた。 いつも兄弟でプレイしているゲームの実況動画。 わちゃわちゃと楽しそうな声が聞こえてくる。 「これ、かっちゃん達としたの楽しかった。 またやろう」 「うん。 連絡しとくから、やろうな」

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