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第916話
袋をパーティー開けにしたお菓子を兄と一緒に食べる。
昼に食べるお菓子も勿論美味しいが、夜に食べると更に美味しく思うのはなぜだろう。
夜食とはとても魅力的な味がする。
弟が遊び散らかした玩具をぽいっとテントの中に投げていると、なんだか腹が空いてきた。
お菓子を食べ、まだ胃の中に入るよ!と言わんばかりの身体は兄と同じ。
「明日の晩飯、なんだろな」
「鶏肉買ってきたから、鶏。
タンドリーチキンとか食いたいな」
「あー、良いな。
リビングは涼しいから沢山食える」
先程見た兄の目には心配の色が滲んでいた。
大学の事だろうか。
それとも、兄に良いにおいを移す人の事か。
家族の事かも知れない。
何に心を痛めているのだろう。
兄は沢山の事を笑顔で我慢している。
兄だけが、と思う事もある。
なにも出来ないのが悔しい。
お菓子を口に運ぶ手を止めて同じ空を見上げた。
自分達の悩みは、この空に比べたら小さいのかもしれない。
でも、この身体に比べたらとても大きな悩みなんだ。
比べる対象なんて結局なんだって良いんだと思う。
大きい物と比べて小さいと気にする事をやめたって、小さい物と比べて大き過ぎると嘆いたって。
それを決めるのは本人だ。
どちらがいけないという事はない。
悩みは悩みだ。
兄は、何を悩んでいるのだろうか。
ぐぅぅ…
「腹減った。
炒飯食いてぇな…」
マジか……
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