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第940話

日も傾き換気に開けた窓から入る風は冷たさを増す。 下半身を露出していた長岡は言葉選び通りその冷たさを肌で感じていた。 換気も大切だが、風邪をひいたら元も子もない。 すっきりした身体で窓を閉める。 適当に自身の下腹部にこびり付く精液を拭い取りゴミ箱に投げ捨てた。 同じ行為でも自分でするのとは全く違い頭も身体もすっきりだ。 あと快感も違う。 においが気になるのでまだ半分ほどしか詰まっていないがゴミ袋にしているビニール袋の口を縛り、後でゴミ回収日の準備をしなくてはと顔に似合わない事を考える。 うがいから帰ってきた三条はすぐにマスクを付け馴染みはじめた新たな日常に僅かに嫉妬した。 会えない間に浸透したそれが無償に憎らしい。 それに対して当たる事はしないが、三条を手招く。 なんの疑いもなく傍にやってきた恋人には悪いが少しだけ1人占めさせてくれ。 「ソレ」 長岡が膨らんだソコに触れると三条は猫の様に肩を跳ねさせた。 「俺は、大丈夫です…」 「お礼に抜いてやるって」 「だって……」 「はーるちゃん」 綺麗な顔で頬笑む恋人。 だが、その顔に似合わないサディスティックな空気を纏っている。 動画を観た事が気に触ったのだろうか。 それとも、焦らし過ぎた。 いや、拙過ぎた。 考えれば考える程、反省すべき所が浮かんでくる。 「なに不安そうな顔してんだ。 痛てぇ事はしねぇよ」 「そうじゃなくて…だって……」 足りなくなる?と意地悪く聴けば控え目に頷くしか出来ない。 だって、ここは長岡の部屋でブレーキになるものが少ない。 向かいの部屋の弟も、社内で外から見られる心配もない。 理性より本能が勝ちそうでこわい。 さっきまで被っていたそれで包まれベルトが外されていく。 かぁっと顔がアツくなるのをどうしたら良いか三条は知らない。 「もう帰らねぇとなのにそれはキツいだろ。 それに、ソレで外に出らんねぇ。 ただの処理だ」 「で、も…」 「嫌なら抵抗してくれ」 抵抗なんて出来ない。 本当はされたい。 触れられて嬉しい。 嫌な筈なんて絶対にない。 「正宗さ…っ、ん………」

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