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第946話

帰ってきたら一旦シャワーを浴びて身体を綺麗にする。 夜には湯船に浸かるので本当に身体を流してすぐに出るのだが、外から帰ってきて気になるのは末の弟だ。 予防はするに越した事はない。 加えて、夏場は汗を流す意味もあった。 さっぱりした顔で鏡を見ればガリガリで貧相な身体。 以前より運ばれていく肋が見えるような気がする。 それより気になるのが白い身体だ。 キスマーク… あれだけあるのが当たり前だった独占欲はこの半年間全く見当たらない。 日焼けをしない白い肌はなんの色もなく寂しい。 長岡の物だと視覚からも理解出来、それが嬉しかった。 赤い色が好きになったのに。 寂しいって思うのは普通なのか……? 脱げないしない方が…って脱ぐような機会もねぇしな 体育の着替えやなんやで苦労したのは2年半前。 当たり前だった日常がとても恋しくなる。 当たり前に触れ合え、愛を伝え合い、独占欲を咲かす。 友達と遊びに勉強に長い時間一緒にいて、遊びも真面目にしてきた。 それが、今はどうだ。 出掛ける事すら遠慮がある。 友人とも恋人とも会えない日々は、なんとも気持ち悪く居心地が悪い。 とは言え、こんなご時世に遊ぶなんて事も出来ない。 自分が誰かに移してしまったら。 もし、その方が亡くなったら。 恐怖が足元を掬う。 いや、縛り付けるんだ。 弟や恋人が気分転換に外へと誘ってくれるのがとても沁みてくる。 その優しさに今は甘え、そして世界が元気になったらうんと返さなければ。 俺に出来る事をするだけだ 悄気たら優登も綾登も正宗さんも心配する よしっ バチンッと頬を両手で挟み気持ちを入れ換える。

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