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第951話
わかめスープがあった……はず…
ねぇな
全部食ったか…?
釣り戸棚を漁るが見当たらない。
どうやら最後の1つがあったと思ったが思っただけだったらしい。
揃いのマグカップに顆粒鶏ガラスープと冷凍葱、乾燥わかめを適当に入れ、沸いた湯を注ぐ。
学生時代から簡単に汁物が欲しい時によく作る即席のスープ。
胡麻油や春雨を入れても美味いが今日は濃いソース味と食べるので葱とわかめで十分だ。
「なぁ、遥登。
フライパンから食っても良いか」
『はい。
俺の事は気にしないでください』
長岡は4年付き合っていていても礼儀を忘れてない。
三条の前ではなるべく食事は皿に移していたが洗い物も増えるし1人となるとめんどくさい。
それよりさっと食って三条と話したりゲームをしていたいと申し出れば、いつものにこにこした顔で頷いてくれた。
『1人だと俺もしますよ。
インスタントラーメン茹でてそのまま小鍋で食べるのとか』
「あー、その食い方美味いよな
でも、覚めにくいし熱いだろ」
『中々冷めません…。
でも、洗い物するの面倒ですし』
「ははっ、分かる」
カメラ揺れるぞと声をかけローテーブルにフライパンと共に着席した。
フライパンから直接食っても、台所で立ち食いは流石に礼儀が無さすぎる。
両手を会わせてすっかり癖になった挨拶をしてから、ふーっと息を吹きかけずずっと啜った。
『美味しいですか?』
「遥登と一緒だと美味い」
カメラ越しでもキュンとする笑顔に、三条ははにかんだ。
元々上がっている口角は緩くなり頬の筋肉が緩む。
照れたように笑い、嬉しそうな目をする。
それが長岡にとってどれ程心に栄養をくれるか。
疲弊しすり減った心が元気になっていく。
先日は甘えたので今度は三条をでろでろに甘やかしたい。
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