952 / 1502
第952話
飯を食い終え、今度はゲーム。
フライパンも箸も流しに措きっぱなし。
休日の子供の様な生活だがたまには良いだろう。
現実なら10月に海なんて入れないがゲーム内では出来てしまう。
寒そうだが。
「はー、またこのリスは遥登ガン見してんぞ」
『ゲームじゃないですか…』
「あ、でな。
中々、集まんねぇんだよ」
『スピード早いのですよね。
角に追い詰めるまでが大変です』
折角のビデオ通話だが、元無人島を開拓─もとい、狸への借金返済─すべく今日も金を稼ぐ。
図鑑を埋めたいのも勿論あるが、とにかく借金があるのが気持ち悪い。
実生活でも奨学金返済をしているのだからせめてゲーム内では自由になりたい。
地下を作って踏み倒す人も居るらしいが、流石にゲームでもそれはしたくない。
コツコツ返済するしかないのだろう。
机に肘を付き、ダラけた姿勢で海を泳ぐ。
相変わらず恋人のキャラクターは色気のない水着を着ている。
『ふふ。
正宗さん、うちの弟と同じポーズになってます』
「これやるよなぁ…」
今度はソファの足元に寄りかかり小さくなる。
「これは遥登の真似な」
『え、正宗さんの前でもしてますか?』
「この前してた。
ベットの上でゲームしてた時。
素なんて見れんの珍しいから言わなかったけど、可愛かった」
就寝時も丸くなり寝るが、ゲーム中も縮こまるとはと思っていなかった。
というか、よく今まで素にらなかったもんだと感心した。
『すみません…』
「なに謝るんだよ。
今度は俺の目の前でもそうしてくれ」
『でも…』
「俺が嬉しいんだよ。
家族みてぇだろ」
『っ!』
頬を赤らめ、きゅっと上がった口元が緩んでいる。
その顔が大好きな長岡は満足そうに笑う。
ともだちにシェアしよう!

