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第962話
形の良い丸い頭を支える細い首。
パーカーの袖から見える手首。
なんだか以前より細くなった気がする。
明かりの当たり具合もあるのだろうか。
身体の多くを露出する夏場は細くなったか?と思う程度だったが、秋口から痩せたなと思うようになった。
勿論、三条が食事を人一倍食べる事も知っているし、それこそ弟が作る甘いおやつをぺろりと食べきっているのも話は聴いている。
現に今飲んでいるコーヒーは牛乳と砂糖を足した甘いものだ。
だが、それにしても痩せたと思う。
会わない期間が広いから変化を見付けやすいのか。
それとも本当に痩せたのか。
どちらにしても心配だ。
マスクを外し美味そうにコーヒーを啜る頬に触れた。
「え…、なにか付いてましたか?
やば、恥ずかしいです…」
「いや、なんも付いてねぇ。
ちょっと痩せたか?」
「ちゃんと食べてますよ。
弟とおやつまでしっかり食べてます」
その言葉が嘘ではないのは理解している。
だが、元々細い身体に対してそう思うのだからやはり痩せたんだと思う。
「ほら、これやるよ」
そう言って栄養バランス補助食品のクッキーバーを手渡した。
それは、大雨時に万が一を考慮して購入したが食べずに済んだもので学校にでも置いておこうと思っていたが三条食べてもらった方がずっと役立つ。
でも…と言いたげな様子に、もうひとつ取り出した。
「キャラメルもどうぞ」
手のひらに2つ3つと転がした。
高校時代を思い出すそれ。
「ありがとうございます」
「美味いよな」
「正宗さんから別けて貰うと特に美味しいです」
「お、可愛い事言ってくれんだな」
とんっと肩をぶつけ笑い合い、残りのコーヒーを飲みながら2人きりの時間を分け合った。
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