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第966話

「正宗さん、居ますか…」 「居ますよ」 発展場だという公園に歩いて来た2人。 三条は公衆トイレの一室で脱衣を長岡はその見張りをしていた。 布切れの音がやけに五月蝿く感じるのは外が静か過ぎるからだ。 ドキドキと心臓が痛いのもそう。 床を踏まないようにスニーカーに足を置きながら器用にフロントボタンを外す。 意を決し、ボトムスと共に降ろしたパンツを足から引き抜いた。 バックルの金属音で分かるのか外から声がかかる。 「脱げたか?」 「……一応」 「じゃあ、パンツ寄越せ。 鞄に隠しとく」 キィ… 薄く開かれたドアの隙間からなんとも言えない色っぽい顔をした三条が顔を覗かせた。 脱ぎたての下着を手渡すのも恥ずかしいが、ノーパンになった事はもっと恥ずかしい。 なんで自ら脱いだのだろう。 どこかで期待してんだろ 頭の中で誰かが笑った。 「やっぱり、恥ずかしいです…」 「自分からパンツ脱いどいて何言ってんだか。 ほら、散歩の続き行くぞ」 ノーパンで散歩なんて、スリルがあり過ぎる。 しかも、ボトムスの下は無毛。 バレたら変態確実だ。 社会的に死ぬ。 「なんか、スースーします…」 「へぇ、スースーね」 にやにやと口元を緩めながら隣を歩く恋人は、そりゃもう楽しそうにしている。 実際楽しいのだろうが。 あぁ、やっぱりサディストだ。 「あと、固定出来ないから……その、色々と当たります……」 「あぁ、遥登のでけぇからな」 「声が大きいですっ」 誰も居ない道路だとしても、近隣の家庭には明かりが見える。 若い人達はまだ活発な時間だ。 「遥登、コンビニ寄るか?」 「出来な……」 羞恥と困惑、少しの好奇心が混ざったその顔に長岡は確実にマゾヒストの血を感じていた。 「車に着いたら首輪するか? 見付かったら俺も社会的に死ぬけど、スリルはやべぇぞ」

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