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第967話

虫の音を聞きながら田んぼと畑の脇を歩いている2人の姿だけを見ればとても和やかだろう。 実際は、下着を着用せずプレイの真っ最中なのだが。 公園を大きく回ってデートの続きをしつつ駐車場へと帰るらしい。 それでも、今日はいつもより早くからデートをしているのでまだまだ時間はある。 車の中で話すのだろうか。 それとも、神社に戻るのか。 どちらにせよ、長く一緒に時間を過ごせる事は嬉しい。 「共犯って、えろいよな」 「……」 「しかも恋人と共犯。 興奮するわ」 サディストの発言ではないと思うのだが長岡は楽しそうだ。 裏表一体ってやつなのだろうか。 SMはただサディストがマゾヒストを虐げれば良いというものではない。 ただ虐げるだけは、だだの暴力。 マゾヒストを気持ち良くしてこそのプレイだ。 そしてマゾヒストのして欲しい事を理解出来るのは同じくマゾヒスト。 気持ちを理解するという事はそちらの心もなければならない。 ……のか? こんな綺麗な顔の人が変態性欲を持ち合わせているなんて自分しか知らないのだろう。 そちらの方が興奮する。 「車に着いたら首輪しような」 長岡はそう言うが、三条はボトムスの裏地に擦れるソレが気になってそれどころではない。 今になって下着のやわらかさや、それがどれ程局部を刺激から守ってくれていたのだと痛感している。 離れてはじめて分かったっなんて都合の良い言い訳だろと思っていたが今は痛い程よく分かる。 「…そ、んな…」 「今の顔、鏡で見てみろよ。 期待してんだろ」 繋がれた小指をひかれ付いて歩くで精一杯。 「あ、そうだ。 いくら興奮しても先走りだけは気を付けろよ。 パンツ穿いてねぇんだからボトムス汚すぞ」 「…っ!」 そうだった。 さーっと顔色が変わった。

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