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第969話

やっとの思いで長岡の愛車へと辿り着いた。 早々に後部座席へと隠れると息を吐く。 隠れる事も車内いっぱいの恋人のにおいも安心する。 「良く出来ました」 「すごく、ドキドキして…心臓を吐きそうです」 「すげぇ例えだな。 で、首輪はどうする?」 その言葉にゆっくりと顔を上げれば目の前の恋人と視線が絡んだ。 サディスティックな人ではあるが無理強いをしてくる人ではない。 自分の意思を大切にしてくれる。 迷っているのが分かるらしくそれ以上追求もしてこない。 「あ…の……」 声が震えている。 「え、と……」 だって、外でデートをする事だって最近はじめたばかりなんだ。 それなのに、こんな露出プレイなんて。 「わか、りま…せん…」 「じゃ、マフラーするようになったらにしようか。 今日はここな」 長岡はそう言って手首に首輪を巻いた。 素直に口にした言葉を蔑ろにされず、きちんと尊重してくれるのは本当に 「手首もほっせぇ」 2重に巻かれたそれは本当に久し振りで。 散々首に装着していた時はまさか外で使う日が来るなんて思いもしなかった。 だけど、外でも着ける事が出来て嬉しい。

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