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第978話

了承のメッセージを送り、それに既読が付くとその場で通話ボタンをタップした。 ワンコールで繋がる早さに三条の焦りが分かる。 焦ったところで下着は自分の手の中だ。 どうしようも出来ないのにな。 いや、だから焦るのか。 どちらにせよ、可愛らしい反応が心を擽る。 困らせたい訳ではないが、もっと困った顔がみたい。 最低な癖だと言われても見たいものは見たいんだ。 「こんばんは。 ちゃんと風呂入ってあったまったか?」 『こんばんは…っ。 あ、はい。 あったかいです。 で、ですね、パンツ……借りるって……あの…』 「そうだ、今1人か? それなら、少し付き合ってくれよ」 取り出した下着を手にソファの下に腰をおろした長岡は片手で器用にベルトを緩める。 部屋にいる時くらい楽な格好でいたいからだ。 だらりとした格好の方が楽だが、折角三条に会えるのならそれなりの格好もしたい。 最低限の礼儀だと思う。 だけど、色を感じたのか三条は吃驚した時の猫みたいにクリクリした目を大きくさせ固まった。 見えないけれど、容易に想像出来る。 それだけ長く隣に居たんだ。 たった半年でそれが壊せると思うなよ。 『ふ、風呂っ、そうだ、風呂が先です…っ。 ほら、色々流さないと!』 「はいはい」 『汗とか…ウイルスとか……心配なのは、本当です』 「分かった。 シャワー浴びてくるから待っててくれるか?」 『はい…』 三条の言う事にも一理ある。 大切な事だ。 それで落ち着いたら落ち着いたらで良いかと思いながら、今下ろしたばかりの腰を上げた。

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