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第989話

清掃も終わり本格的な放課になり、三学年が質問に頻繁に訪れるようになった。 目下に迫る試験に受験。 目まぐるしく変わる日々の中で我武者羅に邁進する姿がとても眩しい。 文句を言わず、言っても頑張る事を諦めない生徒達。 歳ばかりの大人達より、この子達の方がずっと大人だ。 なるべく捕まる様に準備室にいたいがそうはいかない。 所用を済ませるべく職員室の自席で背中を丸めてノートパソコンを打っていると、国語科の職員からの声を掛けられ、教頭から話し掛けられ、中々落ち着かない。 皆、あまり動きたくないのか出会った先で用件を済ます事が増えた。 丁度職員室に訪れた長岡に話を済ませたいのは生徒だけはなく、職員もだった。 こればかりは長岡もそうなので嫌な顔は出来ない。 「長岡先生、このプリントそちらの準備室で回していただけますか。 中々捕まらなくて探しましたよ」 「すみません…」 「いえ、生徒に囲まれてますから見付けるのは簡単なんですけどね。 あ、見終わったらそちらで処分してください」 同じ科の職員は、ふふと笑って自席に戻っていった。 囲まれるとは大袈裟だが、確かになるべく大勢での接触にならない様に間を空け質問に来てくれるので並ばれているとも言える状況になっているのか。 確かに想像してみると面白い絵面だ。 渡されたプリントにさっと目を通し、準備室に持って行くのを忘れないようファイルに挟む。 そうして、また自分の仕事に手をつけた。

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