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第993話
トイレから戻ってきた父はもう一眠りしようかと考えながら大きな欠伸をした。
素足が冷たく、布団が恋しい。
冷えるな
美月ちゃんと綾登、寒くないかな
夫婦の寝室の扉を開け目があったのは妻ではなく息子。
綾登が起きていた。
「とー、とー」
「起こしちゃったか?」
目はすっかり覚めていて今にも妻を起こしそう。
隣にくっ付けたベビーベットから息子を抱き上げ、それを阻止した。
あったかくてやわらかくて、だけど生まれた頃よりずっと大きくなった末息子。
きょとんとした顔を父親に向けて1本指した指を見せる。
この指だっておおきくしっかりしている。
「完全に目が覚めてるな。
あ、そうだ」
そして、1つ提案をする。
「父さんと少しだけ散歩しようか」
頷く頭を撫でてから部屋を静かに出た。
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