997 / 1502
第997話
半端野菜まで沢山入ったスープで手をあたためながら胃袋を満たす。
妻の料理は、いつ食べても美味しい。
「はー、美味い」
「良かった。
でも、朝から散歩なんてどうしたの」
「ん?
んー、トイレに起きたら綾登と目があって、たまは2人っきりも良いかなって。
な、綾登」
「んー」
息子も、パンを頬に詰め込みながらまるでそうだとばかりに首肯く。
意味が分かるのかと頭を撫でられ嬉しそうに頬を膨らませる。
「リズム崩したらごめんね。
俺が帰ったらするから家事も無理してしないで」
「ありがとう。
でも、最近お昼寝は遥登としてるからその間に出来るよ」
「いやいや、美月ちゃんの時間も必要でしょ」
「だーぶっ!」
「ほら、綾登もそう言ってる」
相変わらずの旦那に眉を下げる。
こういう優しいところも惹かれたところなのだが、結婚して20年が経っても過保護だ。
いまだ恋人の様に接する事も多々ある。
そんな両親を見て優登はうんざりした顔をするのがまた反抗期らしくて可愛らしい。
小さなフォークが食べやすい大きさに切ったたまご焼きに刺さると、トントントンと階段を下りてくる足音に嬉しそうな顔を見せた。
その顔は次男にそっくり。
「あ!」
「おはよ。
綾登、今日は早起きだな」
「おー、ぅ!」
「ん?
たまご焼きくれんの?
嬉しいな」
あー、と食べさせて貰っていると、もう1つ足音が増える。
今日はみんなが早起きらしい。
ともだちにシェアしよう!

