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第998話
だんだんと夜の冷え込みが厳しくなってきた。
それでも、外デートをやめるつもりはない。
「遥登、クリスマスプレゼントに欲しいもんあるか?」
「クリスマスってまだ1ヶ月ありますよ」
「最近また忙しくなって、あっという間に過ぎそうでな…。
こうやって歳とって死ぬんだなって実感出てきた」
1/29と1/20じゃ、そもそも1年の経過が違う。
たった9歳は大きな差だ。
三条はスニーカーを見て少し考えてから顔を上げた。
そして、控え目に口を開く。
「なんでも………良いですか…?」
「そこそこなら貯金もあるしな」
「本当に…?」
「言ってみ」
それでも迷っているような姿がいじらしい。
「…うん、でも…やっぱり我が儘は…」
「言うだけならタダだぞ。
それに、我が儘かどうかを決めるのは俺だ。
大丈夫だから言ってみ」
そう言われ、三条は漸く口を開いた。
「…………正宗さんの、時間が欲しいです」
「俺の時間…?」
「……こんな時に我が儘言うなんて駄目なのは分かってます。
でも…………でも、一緒に居たいです…」
3波じゃないかと言われている今、県内の感染確認者も増えている。
県独自の緊急宣言が出ている中で“一緒に居たい”と言う事の意味を考えれば三条の我慢の具合がが伺える。
「時間つくる。
定時で帰ってくるから沢山話そうな」
見上げる目が、本当に良いのか、大丈夫なのかと聴いてくる。
真っ直ぐな髪を指の背で撫で当たり前だろと付け加えた。
会いたいのは同じだと何度言えば覚えるんだ。
そう言った長岡に、漸くふにゃっとした笑顔を返した。
「約束な」
「ありがとうございます」
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