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第1006話
浴室から戻ってきた三条を出迎えるスマホはメッセージの受信を知らせていた。
正宗さんだ
どうしたんだろ
もしかして、まだ心配してくれてるのか…?
申し訳ない気持ちをそのまま顔に出してアプリを開けば都合が付くなら連絡をしても良いかとの誘いだった。
まだ髪が湿っているが、部屋には暖房もついているし良いだろうと了承を送る。
暫く待っているとビデオ通話でも大丈夫かと確認がきたのでこれにも大丈夫だも送った。
今度は直ぐ様、着信を知らせ息を1つ吐く事すらもどかしく直ぐ様ボタンを撫でた。
『お、風呂上がりか。
髪、ちゃんと乾かせ。
風邪引くぞ』
「でも、部屋あったかいですし…早く声が聴きたかったから」
『そんなん言われたら勃つぞ』
「…それに、正宗さんもです」
タオルを首にかけた長岡の髪はしっとりと濡れている。
自宅近くに送り届けるまでマフラーを貸してくれていたので身体が冷えていないか心配だ。
「さっきはマフラーありがとうございました。
冷えてませんか」
『暑かったからって言ってんだろ。
気にすんな。
大丈夫だよ。
それより風呂上がり見んのも久し振りだな』
「あ、そうですね。
なんか恥ずかしくなってきました…」
『なにが恥ずかしいんだよ。
一緒に風呂に入る様な仲だろ』
わざとらしい言い方にかぁっと顔が熱くなる。
湯上がりのお陰でそれを隠せているが、長岡にはお見通しなのだろう。
湿ったタオルで口元を隠す事しか出来ない三条に更に言葉を続けた。
『それ以上も』
「…っ」
『ははっ、照れんなよ。
ほんと可愛いな』
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