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第1008話
『正宗さんも俺の服着てください。
あの……におい付けて欲しいです』
おずおずと口に出された要望はとても可愛らしいもの。
そして、ちゃんと自分の気持ちを口に出してくれて嬉しい。
「良いのか?」
『着て欲しいです』
「有り難く着させて貰う。
ちょっと待っててくれ」
寝室においてある服を取りに一旦画面から消える。
その間もじっと待っているであろう忠犬の様な恋人の服を手に直ぐ様戻ってくれば、すぐに嬉しそうな顔をした三条と目が合う。
何度もでも言うが、こういう所が一々可愛くて仕方がない。
寵愛するしかないだろ。
「借りるな」
着ていたスウェットを脱ぎ捨て、三条の私服に腕を通すと流行りのビックサイズだという事もあって丁度良い。
成長期、すげぇ
同じサイズだもんな
細いっつっても腕も脚も長げぇし、ほんとにまだ伸びたりするかもな
襟刳りから顔を出し乱れた髪をさっと整えると三条は格好良いですと嬉しい事を言ってくれた。
「褒めたってなんもねぇぞ」
『事実を言っただけです』
それにしても、これは中々良い。
三条のにおいが全身を包み込んでくれて本当に抱き締められているみたいだ。
画面の向こうで“あんな顔”をするのも頷ける。
「遥登のにおいして最高だな」
『へへ…照れますね』
漸くふにゃふにゃ笑いだした顔に肩から力を抜いた。
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