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第1009話
『あの、本当に良いんですか』
「当然だろ。
先に起きたら起こしてくれ。
ほっとくと昼過ぎまで寝てそうだからな」
今日は通話を繋げたまま寝ると言えば、嬉しそうな顔で尻尾をぶんっぶんっと振りながら何度も確認してくる。
時々こうして通話を繋げたまま寝るが毎回こうだ。
可愛いだろ。
あー、くっそ可愛い
抱き潰してぇ…
邪な感情をぐっと、ぐぐっと堪えて枕に頭を預ける。
『お疲れなら寝てて欲しいですけど…』
「遥登と同じ時間使ってる方が落ち着くんだよ」
『…っ』
布団を引き上げ顔の半分を隠してしまった。
そんな事をしても嬉しそうな色を滲ませる目は隠せていない。
綺麗でいつも真っ直ぐに自分を見ていてくれて、惹かれた目だ。
何年経っても、やっぱり好きだと思う。
「起こしてくれるか?」
『……はい』
それに、完全に潜り込まない辺りに本音が見える。
素直な反応が、荒んだ気持ちを穏やかに変えてくれるお陰で土日は気持ちにも体力的にも余裕が生まれる。
自分が自分らしくいて良いんだと思える。
それがどれ程の長岡にとって力になっているか。
長岡も口角を緩めながらまだまだ沢山の話をして同じ時間を過ごしていった。
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