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第1010話

「遥登」 ん…… 「はーる」 あれ… 正宗さんのにおい そうだ、服着て寝たんだ でも、なんか……声が近い…? 眠い目を擦ると良いにおいが濃くなった。 ゆっくりと目蓋を上げれば1番最初に目に入ったのはスウェットと襟具りから覗く綺麗な鎖骨。 え… 「遥登、おはよ」 視線を上げるとそこには長岡がいた。 いや、いると言うより腕枕されている。 しかも、ここは長岡の部屋のベッドの中。 見慣れた風景が広がっている。 「あ、え…? なんで」 慌てて口を覆い隠すと長岡は不思議そうな顔をした。 「なにしてんだ? キスは歯磨きが済んでからだろ」 「え、だって…マスクしてないです…」 「マスク? 風邪ひいたのか? それとも寝惚けてんのか?」 おかしそうに前髪を梳かれ呆けてしまいそうになるが、慌てて頭をフル回転させていく。 だって、ウイルス流行っててもう半年以上こんな……夢…? どっちが夢だ… 「っ!」 額にちゅっとキスをされクリクリした目を更に大きくすると長岡はおかしそうに破顔させた。 「今日はどうした。 なんか、やけに敏感っつぅか、初々しいな」 こんな近いの久し振りで恥ずかしい。 綺麗な目が、ほんの数十センチ先にある。 鼻はぶつかりそうで、良いにおいがする。 ずっと、我慢してた長岡だ。 沢山触りたかった。 沢山、沢山くっ付きたかった。 「あぁ」 「…?」 「これ?」 ビクッと肩を揺らした三条に長岡はいやらしい笑みを浮かべた。 この顔も、見たかった。 いや、見たかったのは事実だが今は少しまずい。 長岡の脚を挟んでいた脚の間が、細いがしっかりと男のそれで擦り上げられたからだ。 「ぁ…、っ」 「えっろい声。 朝勃ちなんて、整理現象だ。 恥ずかしがんなよ」 頭を降ってもサディスティックな色は消えない。 寧ろ、恋人を喜ばすだけ。 「気持ちよーく抜いてやるよ」 俺はこの人に抗えない

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