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第1017話
朝食の前にスマホを弄り、世界中を苦しめているウイルスの名前を打ち込むが新型が発見された話すらない。
夢…だった?
何度もそうだったらと願った。
何度もそうであってくれと思った。
本当に夢だったんだとホッと胸を撫で下ろした。
悪夢だったな……
だけど、夢の中の長岡も格好良くてあたたかくて優しくて愛おしかった。
それだけは夢も現実も変わりはしない。
あの恋人も愛している。
「遥登、スープなんにする?」
インスタントスープをかかげ、どれが良い?と聴いてくる恋人の元へと小走りで駆けていくと犬みてぇと蕩ける笑顔を向けられた。
今日はずっときゅんと胸がときめいてしかたがない。
あの夢のせいだ。
「トマトのが良いです」
「これ美味いよな」
目玉焼きとウインナーを時間差で焼きつつ湯を沸かし、更にはインスタントコーヒーの準備まで整えている。
色んな事を同時進行させている姿は先生みたいだ。
大人で、だけど子供心も忘れてなくて長岡先生も好きだが、でもやっぱり恋人が1番愛おしい。
「へへっ」
「なんだ、今日はいつにも増してすげぇご機嫌だな」
「正宗さんの隣に居るからです」
「またそんな嬉しい事言って。
パンにチーズのてやる」
「やった!」
いつも緩いの頬が更にゆるゆるになる。
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