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第1020話
「あの……」
「ん?」
「………その、」
声が震えてしまう。
緊張してるのが丸分かりだ。
目を泳がせる三条が口を開くまで長岡は髪に触れながら待っていてくれる。
だからこそ、きちんと自分の声で言葉にしなければ失礼だと思う。
「………………隣、」
寝室を指差した三条に向かって、とびきりの花が咲いた。
どんな花より美しくて香りが良い。
この世界で1番綺麗な花だ。
それだけで、口にして良かったと思えるんだから得な性格だ。
「その前に、風呂だろ」
「あ、はい…」
だけど、もう少しだけ、とまた唇をくっ付られ素直に甘えた。
触れ合うだけのキスがこんなに気持ち良くてふわふわするのだから、それ以上はどんなに甘美だろう。
思い出すだけで身体の奥が疼く。
次第に、その唇は唇の肉を食む様に動きだし、そしてぺろりと舐めた。
合図の通り薄く唇を開けば、舌が自分のそれをなぞりだしあまりのいやらしさに身体に力が入ってしまう。
そんな三条を宥めるように指が項を撫ではじめ、完全にスイッチが入ってしまった。
「ん……」
「やべ。
その顔たまんねぇ。
風呂は後にしてぇな」
「それは……あの…」
お願いします、と異を意を決して濡れた唇にキスをした。
「そんなんばっか覚えて」
「正宗さんが教えてくれたんですよ」
「満点の答えだな」
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