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第1021話
タオルを置いても脱衣所から出ていこうとしない長岡に恐る恐る声をかけてみた。
「あの、もしかして……一緒に入るんですか…?」
「当たり前だろ」
小首を傾げた長岡の髪が眉間からサラサラと溢れた。
格好良いな、なんて惚けてしまうが、今は準備の為に浴室を1人で使用させて貰う方が先だ。
さも当たり前の様に答えるが、一般的には当たり前ではないような気がする。
長岡の他に付き合った経験もないのだが。
それでも、行為前のシャワーは1人ひとりだと思う。
「でも…腹の掃除……」
「離れたくねぇのは俺だけ?」
「…っ」
そんな聴き方、狡い。
こてんと首を傾げるのも狡い。
三条がその顔に弱いと解っていてやっている筈だ。
こんな時ばかり、その顔を利用する。
悔しいけれど大好きな人を甘やかしたい気持ちが勝ちそうだ。
「食ったら出るのはみんな同じだろ。
俺だって出すしな」
「屁理屈じゃ……」
いや、でも、やっぱり、においが気になってしまって駄目だ。
水を注ぐので音も酷い。
恥じらう三条の気持ちは長岡にだって理解出来る。
だからこそ長岡は楽しい。
「俺は、遥登をベッドに縛り付けて近所の薬局に行っても良いんだぞ?
浣腸買ってくるから目の前でするか?」
「そ、な…」
「シャワ浣の方が苦しくないと思ったけど、“そういう”プレイを希望されたら叶えてやらなきゃな。
想像だけで興奮する」
なんだか急にサディストさが増した様な。
ひくっと喉が鳴ったのが長岡にも聴こえたらしく、右口端の笑みが深まった。
「……トイレで…出させて、くれるなら……」
「うし、決まり」
なんだか良いように丸め込まれた気もする。
いや、気しかしない。
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