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第1025話

舌を絡めるキスなんて、いつぶりだろう。 気持ちが良い。 そうだ。 長岡とのキスはすごく気持ち良くて、しあわせなものだった。 あのウイスル─夢だったのだが─が奪った大切な感覚を貪る。 「ん……ぅ、」 上顎まで舐められクラクラする。 口の中を好き勝手に舐められるのが気持ち良いなんて、長岡と付き合うまで想像も出来なかった。 「……ん、ん…」 息が出来ないのに、もっとと腕を浮かんで強請ってしまう。 だって、くっ付いていると心地良い。 こんなにも落ち着く。 「ぷ、は…っ」 「下手くそ」 濡れた唇を指で拭われ、また汚す。 三条からも首を伸ばすと恋人の纏う空気が甘さを増した。 好き、と思うにはそれだけで充分。 それは、この人の事を愛してるんだと思い知らさせる。 「今日は甘えただな」 鼻がぶつかる距離で綺麗に頬笑む恋人が欲しくてたまらない。 末弟の様にべたべたに甘やかされ、甘えても足りない。 独占欲で塗れさせて欲しい。 顔にかかる茶けた髪を耳にかけて顔を露にするとマスクをしていない顔のじっと見詰めた。 紙より深い色の目。 鼻筋も通っていて、形の良い唇が弧を描いている。 骨格すら綺麗な恋人。 そっと、頬から顎のラインに手を滑らせると擽ったいのか目を細めた。 「甘えたの遥登もたまんねぇから、もっと甘えろ」

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