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第1026話

裾から入り込んできた冷たくて大きな手が腹をまさぐる。 腹筋を辿り、平べったい胸へとやってきた。 ドキドキと騒ぐ心臓の上で止まり、その音を手のひらで聴いている。 「すげぇドクドクしてんな」 心臓まで好きだと言っているようで、より早鐘を打つ。 ふと表情をやわらげた長岡は心臓の上にマーキングが付けた。 「……恥ずかし、から」 「今更だろ。 パンイチは恥ずかしくねぇのかよ」 折角袖を通した服は首元にまとわり、既に下着1枚と変わらない格好になっている。 ガリガリの腹も、棒のような脚も見られるのはみっともなくて恥ずかしい。 だが、それとこれとはまた違う。 好きな人とのセックスだから、こんなに緊張するんだ。 好きな人だから、恥ずかしい。 長岡がそう教えてれた。 「もっと恥ずかしくてやる」 ちゅっ、ちゅっ、と何度もペッティングされ、どんどん胸元が赤くなっていった。 誰にも見せる事がなくとも恥ずかしい。 見せないから恥ずかしいのだろうか。 長岡と自分だけの秘密だから。 恥ずかしいのに、こんなにも嬉しくなる。 胸から顔を上げた長岡の顔がいやらしく歪んだ。 あの日の目だ。 「やらしー顔」 「…っ」 「はー…、俺のだ」 肉付きの悪い頬を捕まれ貪る様にキスをする。 嬉しい。 嬉しい。 「まさ…っ、んん……ま、さ…」 もっと

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