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第1030話

心臓が痛い。 ベッドに転がっているローションを手に取り、目の前でたぽっと揺らした。 「ローション沢山使ってくれ、だったよな」 「ぁ…」 「この1本がなくなるようなセックスしような」 喉の奥がきゅっとして一瞬息が出来なくなった。 期待か、それとも恐怖か。 そんなの自分が1番よく理解している。 「期待に添えるように頑張るよ」 右口角を上げて男くさく笑う恋人はとても格好良い。 今からこの人に抱かれるんだと思うだけで、先走りが溢れる。 朝、抜いてもらったばかりだというのにはしたない身体だ。 若い身体に長岡が刺激的過ぎる。 「おいで。 俺の脚跨いで座れるか」 「え……」 座れるけど、でも…… 胡座をかいた長岡の脚を跨げば、自動的に自分も脚を開かなくてはいけなくなる。 勃ったそれも肋の浮いた胸も丸見えだ。 「嫌か?」 狡い。 嫌じゃないと解っていて言っている。 顔を見たら分かる。 どうしようかと迷う三条の熱くなった頬を長岡は、すりすりと指の背で撫でた。 いつもなら手の平なのに、焦らして楽しんでいる。 三条も悔しいという感情はある。 「あ、の……あの………し、つれい、します」 「どうぞ。 そんな目ぇ逸らすなよ。 俺の裸なんか見慣れてるだろ」 「見慣れて、なんて……。 ………いつみても…格好良くて、ドキドキします」 「お強請りの続きか?」 「ちっ、が」 ほんの数センチ先で弧を描いていた唇に自分の唇で触れた。 こっちが本当のお強請りだ。 「…こっちが、おねだり………です」 「そういうとこ、すげぇ好き」 綺麗な花を咲かせ、お強請りが返ってきた。

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