1057 / 1502

第1057話

ポスッと寝具に倒れ込むと長岡のにおいがふわふわと舞った。 抱き締められているみたいで大好きな瞬間の1つ。 しかも、今日は長岡の服を借りているので、においが濃い。 ふとんを引き上げながら長岡は、これ置いてくるな、タオルやドライヤーを指差す。 分かりました、と掠れた声で返事をしたのを聴いてから寝室から出て行った。 行為の最中もそうだが、丁寧で律儀な人だ。 起きて待っとかないと 一緒が良い… 疲れたばかりではなく身体があたたまった事もあり、眠気が誘う。 だが、長岡を待たなくては。 折角一緒にいるんだから。 眠ってしまわないようにドアをぼーっと見詰めているとすぐに人影がうつる。 長岡は戻ってくるなりベッドに寝転んだ。 「うし、終わり。 昼寝しようぜ」 においも良いが隣にいてくれる大切な人、本人には敵わないな。 すっかりベタ惚れだ。 綺麗な笑顔に心の底から安堵する。 「寒くねぇか」 「はい…」 首と枕の間に腕を通され、いつもの腕枕だ。 それなのに更にしっかりと抱き寄せられる。 どこもかしこも長岡のにおいでいっぱいだ。 ふにゃぁ、と頬を緩めてぴったりとくっ付いた。 社会的距離感、なんて必要ない。 密になって………あれ? そういえば、コーヒーメーカー…は夢? 誕生日に贈った筈のコーヒーセット。 それを美味しく淹れる為に購入してくれたコーヒーの本。 ごりごりと豆を挽いたのは…。 あれは、どっちだ。 夢と現実がごちゃ混ぜになっている…? 大きな手が髪を梳くのが気持ち良い。 表れた額に、ちゅっと唇をくっ付けられ、もう長岡の事しか考えたくなくなる。 「遥登、おやすみ」 「おやすみ、なさい」 起きたら確認しよ 今は、正宗さんが1番 胸に顔を埋め、気持ちの良い睡魔に身を任せた。

ともだちにシェアしよう!