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第1061話
冷えるので車まで移動しようと誘われ、僅かな道程の外デート。
雪が音を吸収し、いつもより静かな道路には雪を溶かす為の水がちょろちょろと流れている。
その水が靴を濡らしてしまわない様に端を歩くが、端にも下水に流れ切らない水が溜まり気を付けなければならない。
それでも、一緒に外を歩けるのは嬉しい。
「遥登の好きなの、教えてくれるか」
「好きなの、ですか…?」
「そう。
好きな食い物とか、色とか、時間とか。
遥登が好きだなって思うやつなら、なんでも良い」
「うーん。
正宗さんが作ってくれるカレーと目玉焼きが好きです。
それから、ほうれん草とかきたまのうどんも」
雪が薄く積る地面を眺めながら、好きだなと思う事を思い出す。
一緒に食べるご飯。
例えば、カレー。
目玉焼き。
好きだ。
胸がきゅっと嬉しくなる。
「からあげも美味しいです」
「美味いよな」
「あとは…田上と吉田と遊ぶのも好きです。
弟ともですし、知佳ちゃんと未知子ちゃんともたのしいです」
「仲良いもんな。
いつ見ても楽しそうで」
頷くと繋がれた小指がもぞもぞと動いた。
「あとは?」
そう言いながら恋人繋ぎになる。
冷たい手は、この気温で更に冷たいが触れ合うところからあたたかいものが拡がっていく。
あぁ、好きだ。
「あとは…良く晴れた日の昼寝とか…」
繋がれた手の、指で甲を撫でられた。
好きだ。
「風呂上がりの弟とか」
「そりゃ可愛いな」
愛してる。
1番は……
「1番は、正宗さんです」
「俺も。
1番愛してる」
マフラーで顔の半分を隠しながら
「柏くんと蓬ちゃんは…」
「2人も可愛いけど、遥登は特別。
なんたって遥登だぞ」
「…嬉しいです」
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