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第1067話

正宗さんは、あまり愛の言葉を口にしない。 それは自分もなのだけど。 愛の言葉を言い合うよりも、ただ隣で笑っている時間の方が長い。 それでも、動作であったり視線、言葉の端々、表情から愛されていると伝わってくる。 愛してる。 世界で1番。 そう感じる。 とは言え、それはあまりであって好きだ愛してると言う事自体が少ないだけで、きちんと気持ちを口にしてくれるのだが、それにしたって今日の不意討ちは狡かった。 よろけて肩がぶつかったと思えば耳元で囁くように愛の言葉を言うんだ。 低くて甘くて良い声で。 しかも、優しく。 全身からえっちぃなんかが出ていたと思う。 ちゃぷ…と首までしっかりと湯船に浸かり、末弟が遊んだ名残のクラゲの玩具をぼーっと眺める。 そんな、顔に出てたかな 元々口端が上がっているので、他人からはよく平気そうに思われるのに。 長岡と優登は特に目敏い。 小さな変化を敏感に感じとり、自分が気を使わない程度に気遣っていてくれる。 本当に頭が上がらないとはこの事だ。 でも、手、繋げて嬉しかったな 普通に…こう… 骨の浮いた手には、しっかりと握られた感覚とぬくもりが残っている。 それを愛おしいと言うんだと知れたのは長岡のお陰だ。 手を眺め、ふにゃっと頬の筋肉を緩めた。

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