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第1078話
スマホを充電コードに繋ぐと枕元に置き、ふとんに潜り込み肩までしっかり埋もれた。
長岡の部屋のあのふわふわもふもふの毛布には負けるが、小さな頃から使っている自分から毛布もあたたかい。
それでも、部屋があたたかい内に寝ないと顔が寒くなってしまう。
だけど、頭に長岡が思い浮かんで眠れない。
正宗さん、最近たまに視線が違う所にいくんだよな
どうしたんだろ
赤ちゃんや動物は大人には見えない何が見えると言うが、その類いだろうか。
いや、まさかな。
綾登がもっと赤ちゃんだった頃、誰もいない空間を見て笑っていたのは若干心臓に悪かった。
最近はそれもなくなってきて安心していたのに。
正宗さんが見てる方にあるのは扉だよな
扉の向こうに誰かいるとか?
いや、こんな時に部屋に呼ばないよな
生徒さん達の事すっごい気にしてるし
何かを考える様な、だけどとても深い愛情を感じる視線。
思わず嫉妬してしまいそうな程のもの。
一体なんだろう。
そもそも、長岡は自分と付き合っていて他の人にまで手を出すような貞操のない人ではない。
付き合うきっかけこそアレだが、根はとても真面目な人だ。
ごろんと寝返りを打って借りている服に顔を埋める。
なんだろ
いつか教えてくれるかな
漸く襲ってきた睡魔に抗う事なく誘われ微睡みの中、今度は大好きな人の笑顔を思い浮かべた。
本当の笑顔。
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