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第1082話

「あー…、あったけぇ」 ドアを全開で脱衣所にカメラがあるので若干画面が小さいが、久し振りに恋人の顔を見ながら入浴だ。 入浴剤まで入れてとっぷりと湯に浸かる。 思わず声が出てしまう程、気持ちが良い。 やっぱり湯船に浸かるのは良いな。 シャワーよりあたたまれ、なにより身体の緊張が解れるようだ。 そんな長岡へと注がれる熱視線に笑みを浮かべる。 「えっち」 『……え、ちじゃないです…』 「すげぇ見てくんな。 さっきもガン見してたろ」 『やっぱり先生って頭の後ろにも目がありますよね…』 いや、頭の後ろに目はない。 見えてもいない。 だろうな、と思って言っただけなのだが、どうやら本当にガン見されていたらしい。 脱衣も洗身もアツい程の視線を感じた。 ま、今更身体を見られても恥ずかしいとは思わないから良いのだが。 身体の向きを反転させ、縁に顎をのせる。 気持ちを落ち着かせようとマグの中身を煽る恋人に言葉を続けた。 「俺の身体、そんなに好き?」 『そんなの…愚問、です』 「へぇ。 愚問か」 ニヤニヤと緩む口角を締める事が出来ない。 だらしない顔を見せられるのも、この可愛い可愛い恋人だけ。 「自分の身体に自信ねぇし、そんな好きじゃねぇのか」 『え…。 俺は……だ…好き、です』 だ、好きって かわい… 恥ずかしそうに口元を手で隠しながら大好きなんて言われたら、それこそ逆上せそうだ。 あぁ、でも、三条に夢中って意味でなら逆上せてんな。

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