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第1097話

境内へと伸びる足跡は神社裏の細道へと進んでいき、その先にはしあわせそうな恋人が歩いている。 空から降る白が音を吸収し、いつにも増してシン…としている中を静かに談笑する2人。 小指を繋ぎしあわせそうに微笑みあいゆっくりと歩いていた。 2人きりの空気の中を仲睦まじく歩く姿は、同性同士でもそこに愛情があるのが分かる。 マスクをしていても分かる嬉しそうな顔。 腕に巻かれたままのリボン。 端から見たら不思議な2人だが、この田舎の寒空の中を歩いているのは2人しかいない。 誰にも見られる事なくデートは続く。 家と家との間の狭い通路から軒先へと続く猫の足跡を見付け指差せば、もう1人が楽しそうな顔で頷いた。 その足跡の先を覗き、また笑う。 子供が作ったであろう、頭と身体の大きさが同じ小さな雪だるまの脇を通り何処かへ消えていった。 今日はクリスマス。 恋人達の日。

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