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第1100話
寝起きの綾登は、迎えに来た母に抱き付いた。
あたたかなふとんから抜け出るのは寒くて嫌だが、リビングはあたたかい。
それに、兄達もいる。
気持ちだけは行きたいが、身体が動かない。
「おふとんあったかいもんね。
でも、遥登も優登もいるから朝ご飯食べに行こうね」
「あぁい」
「シシちゃんしっかり持ってね」
よいしょと抱き上げ廊下に出ると、その空気の冷たさに首に顔を埋めた。
スリーパーも着せているのでより顔や手足が冷たく感じるのだろう。
リビングへと続くドアを開けて末息子にそれを見せる。
「綾登、見て。
サンタさんが来てくれたよ」
兄達から話を聞いていた綾登は下ろされると、ととっとそれに近付きじっと見詰めた。
両親から…ではなく、サンタさんからのプレゼントはジャングルジム。
小さなジャングルジムにすべり台、ブランコが付属されていて大人が見ても楽しそう。
こんな時で再度公園で遊ばせる事が出来なくなっても、雨でも、遊んで体力を使えるのは大きい。
子供がストレスを抱える必要はない。
存分に遊んで欲しい。
それに、夏場はすべり台部分をプールに入れれば楽しいと聞いた。
小さなウォータースライダー風の遊具になるらしい。
自宅だが思いっきり遊んで欲しい。
サンタはそれを願う。
「おはよう。
なにしてんの?」
「あ!
ちゃん、ちゃん」
「おー、サンタさん来てくれたんだな。
綾登良い子だもんな」
「へへぇ」
「後で格好良いところ撮らせてくれるか?」
「あーい!」
勉強道具を取りに部屋に戻っていた兄は満面の笑みにそっくりなものを返した。
朝からサンタがせっせっと組み立てていたのを見ていて長男は、遊んでいる姿を送ってあげようと。
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