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第1101話

お昼休み、長男から届いたメッセージを見ようとアプリを開くと添付ファイルがあることに気が付いた。 ぽんっとタップすると可愛い姿が映っている。 『綾登、楽しい?』 『たのち!』 本当に楽しそうに手を降りながらすべり台をおりる姿に胸がぎゅぅっと締め付けられ、またジャングルジムを登って滑り降りる姿にきゅんっとする。 息子が可愛い過ぎる。 大好きな奥さんに似ている事を差し引いても可愛い。 「三條さん、昼休みにすみま…どうしたんですか…?」 「うちの子供がすごく可愛くて帰りたい…」 上司の“いつもの”に後輩はもう慣れた。 「見せてください」 小さな怪獣が楽しそうに遊ぶ姿に後輩も頬を緩ませた。 「可愛い。 もうこんな大きくなられたんですね」 「すぐに大きくなるよ。 長男なんて、もう成人式だよ。 子供の成長は早いね」 沢山遊んでくれれば良いなと思って朝からせっせと組み立てたが、本当に良かった。 気持ちを救ってくれるのは、いつも家族だ。 「うちは、春前に生まれてくるので今年が2人でクリスマスを祝うの最後になりそうです」 「じゃあ、暫くは2人きりになれないから今の内にうんと味わっておいた方が良いね」 「でも、こうして息子さん見てると早く生まれてこないかなって思っちゃいます。 ベビー服とかも結構ネットで見繕ってて。 今の感染状況が落ち着いたら直接見に行きたいんですけどね…」 子供も大人も我慢を強いられ、思うように動けず くさくさする時だってある。 それでも、その気持ちとまだ付き合わなくてはいけない。 生まれた時代で苦しまなくてはいけないなんて、理不尽だ。 長男も、次男も、三男も、沢山の事を我慢し堪えている。 本来そうなるべきではないのに。 足を掴むそれが憎らしい。 だけど、そればかりに囚われ嘆いていては心が消耗してしまう。 それでは駄目だ。 心は磨り減れば切れてしまう。 「気分転換も大切だよ。 特に奥さんは自分の身体になにかあったら子供にまで何かあるんじゃないかって不安になるだろうけど、閉じ籠ってばかりも身体に良くないから状況が落ち着いたら直接見に行ってみらどうかな」 「はい」 「はい。 俺からお子さんへのクリスマスプレゼント」 「え、いやっ、駄目ですって…っ」 「生まれたら写真見せてよ」 現金を握らされ部下は慌てたが、三条はにっこり笑って無理矢理握らせる。 「……ありがとうございます」 「さ、今日はクリスマスだから早く帰れる様に仕事頑張ろうね」 「はいっ」 よしっと気合いを入れて戻っていく背中に何か用があったんじゃないのかと問えば、そうだったと笑いながら駆けてきた。

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