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第1102話
「んーっ」
「美味い?」
「美味い!」
甘い笑顔に優登はへにゃっと笑った。
真ん丸のチョコレートケーキは一日寝かせてしっとりホロッとしている。
しかも、昨日とは違い雪化粧を施されなんとも可愛らしい。
いつもより手間暇のかかったご馳走をぺろっと食べ切った兄弟だが、まだまだ腹に余裕はある。
「優登も食えよ」
「食ってるよ」
「遠慮すんなよ」
「俺が作ったんだって」
ブラックコーヒーを飲み、舌に残る甘さを楽しむ。
甘くないコーヒーが飲めるようになり食事の楽しみ方が増えた。
「んんー!」
「美味い?」
「あーい!」
末っ子も次男の作ったケーキを食べてご機嫌だ。
此方は、真っ赤な苺が艶やかで美味しそう。
「んーっ!」
甘酸っぱい苺を頬張り足をパタパタさせて喜ぶ可愛らしい姿に、優登は目元を和らげた。
こうして見ていると大人になったなと思う。
小学生の時より、しっかりし感情を抑える事も増えた。
だけど、その端々から気持ちは読み取れる。
今だって。
「なに、ニヤニヤしてんの?」
「んーん。
別に」
長岡と過ごしたかったのは本心だが、弟と過ごすクリスマスも最高だ。
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