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第1105話
「じゃ、乾杯」
『乾杯です』
新しくあけたビールをゴクゴクと喉に流し込めば、先程よりとても美味かった。
三条も同じものを飲んでいる。
「はーっ、遥登と飲むとうめぇ」
『俺も美味しいです』
「それにしても、遥登が飲んでんの慣れねぇな」
『それ言うの何度目ですか』
アルコールを嗜む三条は見慣れない。
生徒の、未成年のイメージが強過ぎるんだ。
でも、まぁ、これからの長い時間を一緒に過ごしていけば未成年の方が僅かになる訳で。
楽しみだなと1人で笑えば、三条は不思議そうな顔をした。
もし、そうなったら今考えている事を教えよう。
その頃には、いつまで子供だと思ってるんですかなんて言われたりしてな。
これからに三条がいる。
今も三条がいる。
目映い現実。
『慣れてください』
「伸び代な」
『へへっ』
意味を理解した三条ははにかむ。
特別な事はしてやれないが、とても心地良い時間だ。
そうして、他愛ない話をしたりテレビ番組を観たり、飲み進めていく。
三条は2本目もかわらず美味そうに飲んでいる。
「指輪首にしてんだな。
ご家族にバレてねぇ?」
『今のところは。
弟に珍しいなって言われましたけど、それくらいですかね』
「ケースにしまってても良いんだからな」
『それは……だって……』
「うん?」
『…嬉しいから身に付けてたいです』
か、わい……
ニヤ付く口元を隠しながら、だけど肩を揺す。
駄目だ。
可愛過ぎてニヤけてしまう。
プレゼントを渡せて良かった。
受け取って貰えて良かった。
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