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第1111話

終わった… これで、仕事の事気にせず年明け出来る… 漸く仕事が終わり明日から年末年始だ。 とはいえ、三条が部屋に来る事もないので大掃除は先伸ばす。 実家に本を持って行き三条が好きそうな物を持ってくるのも、今はまだ出来ない。 公務員という職種が足を掴む。 もし公務員じゃなければ、三条と会えたのだろうか。 もし公務員じゃなければ、三条を引き留められるのだろうか。 考えたって無意味な事を考えてしまう。 だって教師をしていたから三条と出逢えたんだ。 どちらかを手放していれば、この奇跡はなかった。 それに、どちらにせよ最優先は三条。 三条の健康が大切。 それだけは変わらない。 「長岡先生、お疲れ様です」 「あ、お疲れ様です。 帰れそうですか?」 「はい。 やっとですよ。 なんで今日言うんですかね…」 午後も半分を過ぎた頃、出来れば今日中に終わらせてくれと仕事を託された臨席の柏崎はうんざりした顔で椅子に腰を下ろした。 はぁーっとひとつ息を吐くとノートパソコンの電源を落とす。 不思議な事に、さぁ、帰るぞというタイミングで仕事をふってくる奴がいる。 もう明日から休みだというタイミングで仕事を押し付けてくる奴もいる。 自分は帰る癖に。 それに巻き込まれた同輩はすっかり冷めたマグの中身を飲み干した。 どうやら、帰宅出来るらしい。

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