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第1107話

半分埋まっていた布団から顔を出すと、冷たい空気が隙間から入り込んでくる。 寒いなと布団に潜り込もうとしてそれをやめた。 通話画面が寝る間際と位置が違うからだ。 どうやら長岡は起きているらしい。 「おはようございます」 カメラの向こうから返答はない。 ただ、代わりに微かに物音が聴こえる。 大方、飲み物を取りに行ったかトレイだろう。 暫く待っているとマグが机に置かれる鈍い音がした。 続いてカメラの端に本が置かれる。 「正宗さん」 『ん? 起きたのか。 はよ』 「おはようございます」 カメラの奥から長岡が顔を見せてくれた長岡は惜しげもなく良い顔をやわらかくして微笑んでくれた。 多分無意識に。 こういう小さな事がきゅんとする。 ちゃんと顔を見せてくれる事や、その表情や、言葉の言い方、選び方。 4年経っても全てが4年前と変わらない。 大きな大きな愛情が、離れていても愛されていると伝わってくる。 長岡の愛は深くて大きい。 「早いですね」 『トイレに起きたから、コーヒー持ってきた。 今日はこっちで毛布に埋まって本でも読むかなって』 なんて気分の良い目覚めだろう。

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