1119 / 1502

第1119話

三条と気軽に会えなくなった今年も、もうすぐ明ける。 沢山嫌な思いをした。 沢山悔しい思いをした。 沢山我慢をさせてしまった。 だけど、時間を合わせ沢山の時間を一緒に過ごしたのも事実。 誕生日からは遅れてしまったが指輪も渡せた。 それから、 『俺、正宗さんと居るとしあわせです。 すごく…すごくしあわせです。 だから、正宗さんも同じだけしあわせにしたいです。 絶対にします。 世界で一番しあわせにします』 プロポーズまでされてしまった。 振り返ってみれば例年と同じく色んなことがあった1年だ。 嫌なばかりな年ではなかった。 サラサラの髪を邪魔そうに押さえながら本を読む三条を見ていると、視線が此方へと向いた。 『え、なにか…?』 「いや。 真剣に読んでんなって見てただけ」 『俺なんかより本の方が面白いですから、そっちを見てください…』 髪の隙間から覗く耳が赤くなっている。 これが可愛くてたまんねぇの。 変わらなくて安心する。 「遥登はそう言って俺の事よく見てるのに?」 『だって……照れます』 「その顔、すげぇ好き。 もっとさせてぇな」 今年の内にまだまだ三条を堪能して、来年も思いきり独占したい。 「遥登ばっか沢山見てずりぃよ」 『わ、かったですから……口に出すのは…』 「聴いてくれよ。 はーると」

ともだちにシェアしよう!