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第1121話

『なに見ますか? 笑っちゃいけない、紅白…』 「家族と過ごさなくて良いのかよ」 『昨日もそれ聴きましたよ。 そんな歳じゃないです。 それに、両親は弟と寝室ですし、次男は友達とオンラインゲームしてますし。 今日は子供がオールしても許される日ですから』 そんな日だっただろうか。 まあ、三条と年越しを出来るなら有り難い話だ。 『それに俺は今年も正宗さんと過ごしたいです。 駄目、ですか…?』 「駄目なはずねぇだろ。 俺もだよ。 遥登と年明けをむかえてぇ」 遠慮ばかりされては寂しいので、心からの言葉を─心からの思っている事を毎回口にしているが─かけた。 今年も一緒に年越しが出来て嬉しい。 遥登といられて嬉しい。 その言葉を聴いて、へにゃっと頬を緩めた。 『今年も笑って年を越せます』 「俺もだ」 本当はもっと願う事があるだろうに、決してそれを口に出さない。 出せば自分を困らせると理解しているからだ。 た から、願わくは、来年はもう少し三条の為に時間を使いたい。 三条が少しでも我慢しなくて良いようにしたい。 「来年も沢山デートしような。 手ぇ繋いで。 それから、買い食いもして。 また遥登の好きな場所に案内して欲しい」 『はいっ。 俺も全部したいですっ』 「来年も楽しみだな」 そうあるように、鬼さえ笑ってくれるように来年の話をしよう。 三条には笑った顔がよく似合う。

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