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第1125話

炬燵でごろごろと年始の特番を聞きながら携帯ゲームをしている兄弟の元へ大怪獣がやってきた。 「おあよ!」 今日の怪獣は寝起きも良く元気いっぱいだ。 「今日はおめでとうって言うんだよ」 「おめ、でと?」 なんで?と見上げてくる息子の頭を母は撫でた。 お正月だからだよ、なんて2歳満たない息子には説明にはならない。 お正月の絵本があっただろうかと本棚を思い出しながら、あたたかなリビングと寒い廊下を隔てる扉を後ろ手に閉める。 「綾登、あけましておめでとう」 「おめでとう。 で、父さんにちょーだいって言ってきてみ」 母と繋いでいた手を離し、リビング、そして新聞を読んでいる父のいる和室の戸を開ける。 ひょこっと顔を覗かせ父親と目が合うとにこっと笑った。 「とーと、ちょーらいっ」 「優登だな。 その前に、おめでとうございますって挨拶しようか。 此処に座って」 ぺたんと腰をおろすと、スリーパーも相まってぬいぐるみの様なフォルムだ。 顔立ちは母親に似て可愛らしい。 親バカな自覚はあるは、可愛い子は可愛いとしか言いようがない。 「おめめ」 「それは若者言葉過ぎるよ。 可愛いけど、おめでとうございますって……こう出来るかな」 同じように真似をして、楽しそうにしている姿だけで新しい1年がとても素晴らしいものになるようだ。 この子達の笑顔が沢山見られる1年にしたい。 沢山沢山思い出をつくって、元気に大きくなって欲しい。 やわらかな髪を撫で、兄達が似た顔で笑う。 「今年は奮発しちゃったよ。 はい、どうぞ」 「あとます」 ぴょっんっ、と飛びながら兄達の元へ行く背中を見送った。

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