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第1131話

「やべ、マジで寝てた」 途中、三条に声をかけられ返事をしたのは朧気に覚えているがそこからころっと寝落ちてしまった。 顔にかかる前髪を乱暴に後ろへと撫で付けながらスマホを確認しようとすると、画面の向こうの人陰が此方を向く。 あ、と思うより早く身体は反応する。 口端が緩み、だらしのない顔になる。 この顔を見せるのはこの子だけだから良いか。 『おはようございます』 「いたのか。 はよ」 起きてすぐこの笑顔だ。 さいっこーの目覚めだな ふにゃふにゃした顔は目出度い正月もよく似合う。 『はい。 散歩して、おやつも食べ終えて部屋に戻ってきました。 正宗さんの寝顔久し振りに見ちゃいました』 「おやつって、もうそんな時間かよ。 起こせば良かったろ」 『折角寝顔が見れているのに起こしてしまったら勿体ないですから』 この言葉選びも嬉しい。 一々男心を擽るんだ。 同じ男だからこそ解るそれをわざとしてたらそれこそこわいが、この勘助にはそんな計算なんてないだろう。 だからこそ、恐ろしい。 「そういや、散歩してきたんたろ。 寒いのにすげぇな」 『コンビニまでですから。 弟が誘ってくれるいつもの散歩ですし』 「腕時計か。 有り難てぇな」 『はい。 俺が気にしてるって分かって誘ってくれるんですから頭が上がりません』 弟にも感謝でいっぱいだ。 プレゼントした腕時計を使える様に散歩に誘ってくれている。 なんて優しい子なんだろう。

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