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第1134話
冬休みも明け、学校に活気が戻った。
「確認テストをします。
冬休み中に課題をしていれば簡単だと思いますが、万が一まだ手を付けていない人がいたら悩んで解いてください」
プリントがクラス中に拡がっていく。
やっぱり、生徒がいる学校の方が良い。
明るくて賑やかで、これが“学校”だと思う。
「後ろまでいきましたか?
じゃあ、はじめてください」
特別難しくはしていないが引っかけをいくつか混ぜた。
もうすぐ受験だ。
その緊張感に飲まれない様に少しずつ慣れていって欲しく、意地の悪い問題を混ぜたが大丈夫だろうか。
言葉をよく読み、理解していれば大丈夫な様にはいてあるつもりだ。
遥登、大丈夫か心配だな
もう2週間会えてねぇし、寝付きが悪いっつってたな
とは言え、ここんところ感染者数増えてて……
ちらりと目の前の生徒達を見る。
自分になにかあれば、この子達からまた楽しい時間を奪う事になる。
もう二度と取り戻せない青春。
勿論、恋人が最優先だ。
何よりも大切な子だ。
そう。
だからこそ、目の前の生徒達を巻き込む訳にはいかない。
休校処置がとられる様な事になれば、三条は心を痛める。
自分のせいだと責めるだろう。
そんな事は決してさせたくない。
だから会うのを控えている。
だけど、どうしても三条の事が気にかかる。
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