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第1137話

「そうだ、遥登が起きたらみんなでゼリー食べよっか。 おやつにみかんのゼリー買ってきたんだよ」 「きゃぁ!」 むにむにの頬を小さな手が包む。 あまりに嬉しそうで、今にも兄を起こしそうだ。 お昼寝をして体力を回復させた三男は元気いっぱい。 本当ならそろそろおやつなのだが、今日は次男の帰宅も早いのでそれに合わせようと綾登と約束をした。 「おやつの時間になったらね。 それまでパンパンマンの続き見てよっか」 「あーい」 真ん丸の顔の正義のヒーローは兄弟みんながお世話になった。 なんで子供はパンパンマンが好きなんだろうと思うほど。 しかも描きやすくてお絵描きしてと誘ってきた時には丁度良い。 親にとってもヒーローだ。 「みあんのは」 「遥登が起きたらね。 優登ももう帰ってくるから、もう少し待ってよう」 そわそわとケツに落ち着きはないが、パンパンマンがはじまると食い入るように見始めた。 本当に、パンパンマンとママと一緒は子供を強く惹き付けてくれる。 暫くそうしていると、玄関の開く音と共にただいまと低くなった声がした。 リビングのドアを開けた次男は雪のにおいを纏い、マスクから覗く頬や耳を真っ赤にさせている。 「ただいま」 「あ! しー、よ」 「なんで?」 「はう、ねんねちてる」 「起きてんじゃん」 マフラーを外しながら、ほらと指差した先にはブランケットから目だけを覗かせている長男。 鼻まで埋もれてあたたかそうにしていた。 「あ! はぅ」 べたーっと腹に抱き付き、甘えたを爆発させる綾登。 「おはよ。 みあんね、おあつだよ」 「おはよう。 おやつ、嬉しいな」 「へへぇっ」 本当に、父親に似て好きな人に対して火力が強い。

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