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第1141話

「いただきます!」 「いたたきます!」 ぱちんっと可愛い手が鳴ると家族全員がそちらを見る。 毎日そうだ。 元気な声が嬉しくて、喋れる言葉が増えていくのも嬉しくて、つい見てしまうのだろう。 家の中を明るくしてくれる小さな弟の存在はとても大きい。 ちらし寿司を取り分けようとすると隣から伸びてきた手がそれを阻止する。 「俺がとるから食べろよ」 「良いの?」 「今日は特別」 「あーとも!」 「綾登の分はお母さんが分けるから待ってね」 そっくりの仕草に父親は弧を描く口を手で隠した。 三条は弟の優しい言葉に甘えて唐揚げを頬張った。 衣がカリッとして噛むと肉汁がじゅわーっと溢れる。 しかも、生姜が効いていて香りが良い。 「んーま」 「んま、ね」 子供用のナゲットを手で食べる綾登もお祝いと頬に触れている。 「良かった。 沢山食べてね」 「いっぱいたべる」 「はい、兄ちゃんもいっぱい食えよ」 手渡された小皿をありがとうと受けとり、それを早速頬張った。

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