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第1143話
『成人おめでとー!』
「おめでとう」
『って、事でかんぱーい!』
今日は成人の日。
成人式の開催が雪解けを待ってからの三条、田上を除いて、吉田達は本日が成人式の開催日だった。
だった、というのも開催自体はするが、吉田達は参加はしていない。
リスクを考えれば、ある程度の波が引いていてもそれでも多くの人が集まる場所に行くのは避けたかったからだ。
だからこそ、中学校の地区がバラバラでもこのメンバーでオンラインでの飲み会が出来るのだが。
特に吉田は、リスクを背負うより気兼ねない友達と祝いたいと笑って言ったので、三条は知佳ちゃん未知子ちゃんにも内緒で声をかけたのだった。
そのお陰で吉田は終始にこにこと嬉しそう。
大好きな友人達との気兼ねない食事はいつぶりだろう。
オンラインでも笑みが溢れてくる。
「知佳ちゃん、未知子ちゃんは着物着たの?」
『前撮りでね。
写真あるよ』
「見たい。
大丈夫?」
『うん。
家族以外に見て貰えないから、むしろ嬉しいかも』
どうぞ、とスマホ画面を差し出された。
いつもは下ろしてる髪を綺麗に結い上、振り袖を身に纏う友人はとても大人っぽい。
ポーズもそうだ。
綺麗に結ばれた帯も写るように和装らしい振り返り姿は友人という事を差し引いても大人びていて綺麗。
三条、田上、吉田はマジマジとそれを見させてもらう。
『可愛い……』
『ありがとう。
お母さんのお下がりなの』
食い違いコントみたいになってるけど、まぁ吉田が面白いし良いか。
『未知子ちゃんも可愛いね』
『ありがとう』
『やっぱり家族以外にも見て貰えるの嬉しい』
女の子は特に艶やかに着飾り、家族だけにしか見て貰えないのが勿体ない。
こんなに綺麗なのに。
そんな事を言えば、人誑しと吉田が溢した。
人誑しは長岡の方だ
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