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第1146話

「あ、ちょっと待ってて。 いや、話は進めてて良いよ」 『おー』 「優登も一緒に食べる?」 「良いの?」 「どうぞ。 吉田も会いたいって」 自室の前を通り掛かった優登を手招けば、ととっとカメラに写らない様に回り込んできた。 さっきから優登に会いたい綾登に会いたいと吉田が言っていたのでナイスタイミングだ。 隣に腰を下ろすと頭がカメラに見切れた。 『お、優登久し振り』 『久し振り。 元気そうだな』 『わ、三条くんの弟くんだ! 可愛い』 『こんばんは。 五月蝿くしてごめんね』 「かっちゃん、りゅーちゃん、久し振り。 お姉さん達も、こんばんは。 お邪魔します」 兄によく似た顔でにっこり笑うと女の子達は嬉しそうな顔をした。 『お姉さんだって。 可愛い』 『ねぇねぇ、文化祭で会ったの覚えてる』 ちょっと寂しそうな吉田は見えないふりをして、会話は続く。 「はい。 覚えてます。 また会えて嬉しいです」 『兄弟して人誑し……』 『天性の誑しだよな』 『誑しでも良いよ。 可愛いもん』 「優登はともかく、俺は誑しじゃねぇって」 「なに、悪口?」 『違うよ。 誉めてるんだよ』 未知子ちゃんがにっこり笑って言えば、知佳ちゃんもそれに賛同した。

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