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第1147話

中学生は幼稚だ。 自分もその中学生である事が嫌になるくらい。 「三条くんって、いっつもお兄さんの真似してるよね。 高校までお兄さんの真似して自分もってないのかな」 「そんな…ねぇ」 「うん…」 1人の女子生徒の含みのある言い方に一樹は優登を見た。 「……」 だけど、優登本人は無視をしている。 まるで聞こえていないかの様に。 もう放課後だ。 帰れば良い。 帰って勉強をしたい。 兄と弟とが待っていてくれる家の方が勉強が進む。 周りにいた女の子達も引きはじめた。 なにもしていない三条に対して異常だと言う事がおかしな事くらい小さく狭い空間の中でも判断がつく。 それに三条は誰にでもにこやかに接してくれていて、彼女が言うような自分を持っていない人間でも、だからこそ言い返してこないのを周りは理解している。 ただ、小さな世界では声を上げられないだけ。 自宅と学校、塾位しか世界のない子供達の身の守り方は自分だけで精一杯。 自分の身が可愛いのは決して悪ではない。 「だって、お兄さんの事を名前で呼んでるの変って言ったら変えたんだよ。 流されてばっかりで自分を持ってないの」 「…ねぇ、声大きいよ…。 聞こえちゃうから…」 「そうだよ」 「別にほんとの事を言ってるだけで、悪口じゃないもん」 めんどくせ… 早く帰ろ 別に何を言われても気にしない。 何もしない奴になんと言われてもどうでも良い。 そんな事に心を揺るがしたくない。 だけど、友人は違った。 「おいっ、いい加減にしろよ」 「一樹?」

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